フッ素樹脂(テフロン)とは
フッ素樹脂とは、フッ素原子を含むプラスチックの総称です。フッ素樹脂開発の歴史は第2次世界大戦中に遡ります。米国にて原子爆弾製造に必要なウラン235の濃縮行程で開発されたのです。そして数年後、軍需産業からのスピンオフ技術として米デュポン社により製品化されました。
代表的なフッ素樹脂の1つにPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)があります。フッ素と炭素のみで構成されるPTFEは、デュポン社によって商品化され「テフロン」と名付けられました。皆さんもご存じのフライパンなどの撥水・撥油コーティング「テフロン」とはこのフッ素樹脂の登録商標名なのです。
フッ素樹脂は以下のような特性を持っています。
- 耐熱性
- 耐極低温性
- 耐燃焼性
- 耐薬品性
- 非粘着性(離型性)
- 低摩擦性
- 電気絶縁性
- 低誘電性
- 耐紫外線特性
これらの特性のほとんどは、フッ素原子と炭素原子の結合力の高さに起因します。全原子中もっとも電気陰性度が高いフッ素は、炭素を含む様々な原子と硬く結合します。一度炭素と結合しフッ素樹脂となった場合、滅多なことでは化学的に分離することがなく、同時に他の物質と新たに結合することもありません。この性質が耐熱性、耐燃焼性、耐薬品性そして非粘着性、低摩擦性というフッ素樹脂の特性を生み出しています。また構造の対称性から無極性の分子であり、すべてのプラスチックの中で最も優れた絶縁性を誇ります。
皆様のご家庭にもフッ素樹脂でコーティングされたフライパンがあることと思われます。そのフライパンの表面に落とした水滴は、形を崩すことなく転がっていきます。これはフッ素樹脂の高い離型性ゆえに見られる現象です。でき上がった料理がフライパンの表面に焼き付いてしまうこともありません。またコーティングが家庭用コンロなどの温度で燃えることもありません。
また、高い耐薬品性を持つフッ素樹脂は多くの薬品タンクのパッキンとして使用されています。そして高い電気絶縁性と低誘電性、耐燃焼性から各種情報通信ケーブルのコーティングにも使用されています。