食品関連分野で活躍する表面処理
フッ素樹脂コーティングが施された調理器具を用いるのは、何も一般家庭だけに限った話ではありません。むしろ大量生産を行う食品製造業の現場でこそ必要になる技術であるといえるでしょう。
焼き型へのコーティング
ワッフルやたこ焼きなどの「焼き型」。これらの表面をフッ素樹脂コーティングすることで、焦げ付きを防ぎ、程よい焼き色を実現します。また非粘着性というフッ素樹脂の特性は、焼き型への材料の固着を防ぎます。生産スピードがアップするだけでなく、焼き型の洗浄回数が減少するので、焼き型そのものの寿命を延ばすこともできます。
米飯食品の加工
粘着性の高い米飯食品の製造にも、フッ素樹脂コーティング技術は活かされています。大量に米飯を炊かなければならない学校給食用の炊飯ジャーなどには、洗浄だけでも相当な時間と労働力を費やします。ジャーの内釜にフッ素樹脂コーティングを施すことで、手作業による洗浄はほとんど必要なくなり、洗浄機のみで従来通りの清潔さを保つことが可能になります。
自動シャリ玉成型機へのフッ素樹脂コ-ティング
回転寿司店など、短時間で大量に「シャリ」を握らなければならない場合、ほとんどの店舗が「自動シャリ玉成型機」と呼ばれる機器を使用します。確かに機器の導入によってシャリを握るという作業の時間と手間は割愛されましたが、今度は「自動シャリ玉成型機」の洗浄に時間を取られてしまうこととなったのです。糊状になった米飯の洗浄には、非常に時間と手間がかかります。
そこで導入されたのがフッ素樹脂コーティングです。米飯と機械の接触部分にコーティングを施すことで、米飯の固着を防ぎます。結果として人件費の削減、コストダウンが実現しました。現在では自動シャリ玉成型機だけにとどまらず、自動おにぎり製造器など、米飯食品加工の現場でその優れた能力を発揮しています。